知恵の和ノート
ゴールに向けての流れは見えているか?(第15話)
ゴールから逆算した明確な流れがあれば、体力で劣る中小企業にも商機あり
クライアントさんが出展されていたこともあり、この1ヵ月で3回ほど展示会を見に行く機会がありました。
展示会には誰もが知っている有名企業も出展していれば、ほとんど知る人ぞ知るといった会社まで様々。せっかくの機会なので、クライアントさんのブースに立ち寄った後いろいろと見学してきました。
展示会とか〇〇フェアに出展する目的は会社によって様々です。私も前職のベンチャー企業に勤めている時、何回か展示会に出展しましたが、最大の目的は自社の商品について多くの人に知ってもらうことでした。
その目的を達成するために
- 展示用のパネルを作る
- PRビデオを制作する
- 商品を展示する
- デモを行う
- チラシを配る
といったことをやりましたが、「展示会に出展→商品に興味を持ってもらう→即商談」のようにこちらの思惑通りにはなかなか進まなかったのを覚えています。
さて、今回の展示会でも、面白うそうな商品に目をひかれ、思わず立ち寄ってしまったところもあれば、キャバクラの客引き並みの強引さにすっかり腰が引けてしまったブースもありました。
そんな中、たまたまクライアントさんの目の前のブースで展示していた某飲食店チェーンの会社。
「ここはいったい何をやりたいの?」という意図がよく分かりませんでした。
その会社がやっていたのは、お店で作っている焼き鳥の試食とチラシの配布です。「ブースの前を通った人に焼き鳥を試食させる→食べ終えたタイミングでチラシを渡す」というのをひたすら繰り返していました。
これがデパ地下の食品売り場だったら、「試食でお客さんの気をひく→気に入ったら買ってもらう」という流れになるので、納得がいきます。けれども、その展示会の場合は、飲食店などフランチャイズに興味がありそうな人と商談する(もしくは、そのような人のリストを集める)のが目的のはずでした。
私はしばらくその様子を眺めていたのですが、試食品を食べる人は何人かいても商談の席につく人はほとんどいないという状況が続いていました。その会社の場合、ある程度名前の知れたチェーン店なので、これぐらいゆる~い対応でも問題ないのかもしれません。
けれども、中小企業の場合は別です。
当たり前のことですが、展示会に出るにあたっても、それなりに費用がかかります。また、2日間とか3日間といったように開催期間中はまとまった時間が取られますし、その準備期間も入れるとかなりの時間を消費します。
特に経営者自らが展示会に参加する場合はその機会費用もばかになりません。
これらを勘案すると、仮に2日間の展示会であっても、達成すべきゴールは何かを明確にし、そのために何をどうするかをしっかりと決めて行動することが大切です。
もし、見込み客のリストを100人集めるということがゴールであれば、
- 名刺をもらう
- アンケートに名前や連絡先を記入してもらう
のが必須事項になります。
この点、先のチェーン店のように試食をさせてチラシを渡すだけでは不十分です。
もちろん中には試食した商品が気に入ってくれて、将来の見込み客になる人がいるかもしれません。しかし、単にチラシを渡しただけではよっぽど関心の強い人でない限り、帰ってチラシをゴミ箱に捨てられて終わりです。
そして、
- 名刺もらう
- アンケートに名前や連絡先を記入してもらう
ためには、アクションを起こしてもらうためのプレゼントを用意することが必要になってきます。
今回クライアントさんの場合には飲食店作りのためのノウハウ集をプレゼントとして用意してもらい、名刺をくれたら、ノウハウ集を渡すことにしました。この結果、チェーン店のブースでは試食に群がった人は多かったものの、実際に商談の席についた人の数では、試食のないクライアントさんのブースの方が圧倒的に多かったのです。
ゴールを明確に定めてそのゴールから逆算して必要な流れを作る。
これは展示会に限らず、会社の経営においても大切なことです。
もちろん、「これなら目標が達成できそうだ」としっかり準備をしても、思ったような結果が出ないということがあります。この時はそのフィードバックを次回に活かすことが求められます。
けれども、中小企業の場合は経営資源が限られているため、ゴールに向けての明確な流れができてないと骨折り損のくたびれ儲けの与える打撃が大企業に比べると大きくなります。
このため、仮に正解ではなくても、ゴールを明確に定めてそのゴールから逆算して必要な流れを作る。
習慣を日頃から意識して身につけることがより大切。ノルマのチラシを配って終わりでは単なる自己満足です。
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