知恵の和ノート

2014/06/03

見たくない現実を勇気を持って見続ける(第13話)

カテゴリー :リスク管理

経営危機を乗り切るためには、日頃から会社の内部問題に向き合う勇気が必要である

見たくない現実を見続ける

民事再生法の適用を申請していた株式会社駿河屋が民事再生手続きの遂行が不可能となり、5月29日に事業を停止した

とのニュースを先週インターネットで見ました。

駿河屋は私の出身である和歌山県の和菓子メーカー。創業が室町時代中期(1461年)というから、550年以上の歴史を誇る老舗です。

私は子供の頃から駿河屋の酒まんじゅう(正式名は本ノ字饅頭)が大好物。

今年の1月時点で同社に民事再生法適用のニュースが流れ、「江戸時代、紀州徳川公が上洛のおり、その道中にてご賞味されたというお饅頭がこれからどうなるのか」、ちょっと心配していました。

しかし、最終的には

「人員の確保が困難であったことに加え、物流体制でも有効な解決策が出せず、協議が不調に終わったことで、事業譲渡を断念。このため、資金繰りのメドもたたず、民事再生手続きの完遂が不可能となった」
(「帝国データバンク」より)

とのことで、事業停止となってしまいました。

民事再生法が適用された時点において、経営不振の原因としては、

「和菓子離れなどの影響から業績が低迷」

「消費悪化などから厳しい経営環境が続き」

「原材料費の高騰などが収益面を圧迫し」

といった文字が並んでいました。

しかし、これらはある意味、すべての和菓子屋さんに共通する課題です。

一方で、過去において、駿河屋は、増資を巡るトラブルで社長が逮捕されたり、上場が廃止されたという経緯がありました。

会社が経営危機に陥るのは、経済環境などの外部要因に加えて、社内体制などの内部要因が重なった時です。

和菓子離れといった外部要因に対してはそれなりに打つ手はあります。

しかし、人心離れといった内部要因を立て直すには時間がかかることが多いし、また、内部要因に問題があると、外部要因に対して有効な手立てを打てないことがほとんどです。

景気の動向や為替相場など外部要因の中には、一企業の力だけではどうにもならないことがあります。

しかしながら、

  • 原材料を偽装する
  • 賞味期限をごまかす
  • 納期を守らない
  • 決算の数字を偽る

といったことは、会社に防ごうという意思があれば防げることです。

そして、食材偽装や粉飾決算のように、お客様の信頼を裏切る行為は会社の中のタガがどこか緩んでいる証拠です。

会社自身が気づいているのに見て見ないフリをしているのが会社の内部要因。

かのカエサルが「人は見たいと思う現実しか見ない」が指摘したように、誰だって嫌な現実からは目を背けたくなります。

また、創業550年を超える老舗企業が倒産したように業歴が長いからと言って、会社の内部要因と向き合っているとは限りません。

けっして簡単なことではないと分かっています。

それでも、あえて言わしていただければ、会社が長く成長を続けるためには、​​​​​​​会社の内部の問題と真正面から向き合う勇気が必要です。

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