知恵の和ノート
己を知った上で相手に伝わる情報発信を心掛ける(第4話)
情報は「誰が」を考慮した上でベストな方法で伝える
先日コンサルタントの仲間が集まった際、たまたま名刺の話になりました。
28年前、私が社会人になって初めて会社からもらった名刺は、「会社名、名前、住所、電話番号」だけが入ったとてもシンプルなものでした。
しかし、最近もらう名刺には、メールアドレスやホームページの情報は必須ですし、顔写真入りのものもたくさんあります。また、中には本人のプロフィールや趣味まで詳しく書かれたものも少なくありません。
そんな中、Aさんの名刺は、「会社名、名前、住所、電話番号」だけが書かれているまさに昔ながらの名刺でした。
彼曰く、「やっぱり名刺はシンプルな方がいい」
これに対しては、「やっぱり昔からのスタイルがいいですよね」という意見が多かったのですが、私自身は「はたして本当にそうだろうか?」と少し疑問に思ったのです。
私の最初の名刺には会社名に「銀行」が入っていたので、もらった人は「銀行の人なんだ」ということがすぐに分かります。
一方、Aさんの会社名はカタカナが並んだ名前。私はAさんがコンサルティングをやっているのを知っていますから、特に問題ありません。けれども、初対面の人がAさんの会社名を見ても「何をやっている会社なのか?」がよく分からないのです。
一方で、Aさんはかなり強烈な個性の持ち主。
一度会った人は「あぁ、あのAさんね」とたいてい印象に残っています。そして、Aさんは「何をやっている会社なんですか?」という相手の質問に対して巧みな話術を展開して自分のペースに引き込みます。
つまり、シンプルな名刺はAさんが持っているからこそ威力を発揮するのであって、他の人が形だけをマネしても上手くいかないのです。
情報を発信する際によく言われることは、誰に向けた情報なのかを明確にするということです。
名刺に小さい字でたくさんの情報を詰め込んでもある程度年齢がいった人の場合は「字が小さくて読みづらい」ということになりかねません。このため、年配の人に渡す名刺は読みやすいものにするというのが基本になります。
一方で、情報を発信する際には、誰が発信するかによって効果が異なるということを気をつけなければなりません。
Aさんのシンプルな名刺はAさんが使ってこそ効果を発揮しますが、口下手、話べたな人がそのままマネすると、「この名刺の人ってどんな人だっけ?」「これって何の会社だったのか・・・」と忘却の彼方に追いやられる可能性が大です。
この場合は、少なくとも顔写真を入れたり、会社名に加えて業務内容を記載した方が相手の印象に残ります。
情報発信の基本は、相手に情報がきちんと伝わるということ。
世間でいろいろと言われている情報に振り回されることなく、自社の場合はどのような情報発信のスタイルがベストなのかをよく見極めることが大切です。
ところで、銀行員時代、新入社員の時に名刺に「支店長代理」という名称を書いている同期がいました。すると、その名刺をもらった取引先の中には同行していた課長よりも新入社員の方を上司だと勘違いしたところがあったそうです。
情報はこちらが思っている通りにはなかなか伝わらないものですね。
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