ミセルチカラの磨き方
しぶとい会社の共通点:お金を稼いで時間を稼ぎ、次の成長に備えよ!
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
どうやって時間を稼ぐかが喫緊の課題
2000年に楽天銀行(当時はイーバンク銀行)の設立準備会社に入社した時、会社はまだ創業から間もない頃でした。
銀行と言えば、預かったお金を貸して金利で稼ぐというのが一般的なビジネスモデルです。
しかし、当初我々が目指していたのは、決済専業の銀行。つまり、個人が商品を購入した際にお店に支払うお金から、店舗側から一定の手数料を得るという手数料収入を収益の柱にするビジネスモデルでした。そして、この仕組みをインターネットのシステムを活用することでコストを抑え、収益化を図る計画でした。
このビジネスモデルを確立するには、以下のステップが必要になります。
1.システムを構築する
2.お金を預け、買い物をしてくれる個人と、この決済システムを導入する法人を集める
3.決済システムが利用されることで収益を上げる
この流れを見れば明らかなように、売上が安定するまでには一定の時間がかかります。さらに、いくら既存の銀行よりもコストを抑えるとはいえ、システムを構築するには相応の資金が必要です。
また、金融庁から銀行免許を取得するには、人材を育て、社内体制を整備しなければなりません。そこで、私たちがまず取り組んだのは以下のことでした。
・資金調達
・人材の採用と育成
・社内体制の整備
・システム構築
・個人顧客の獲得
・法人顧客の獲得
これらを同時並行で進める必要があり、在職していた3年間は非常に濃密な時間でした。
一方、楽天銀行のビジネスモデルの構造上、収益が安定するまでにはどうしても時間と資金が必要でした。個人口座の開設や加盟店の拡大には、当初想定していた以上の時間を要しました。さらに、決済手数料だけでは収益の柱としては不十分であることも、事業を進めるうちに明らかになってきました。
このような状況下では、常に「どうやって時間を稼ぐか」が課題となります。つまり、資金繰りをどうするかが経営の重要なポイントになります。
成長企業の共通点—時間を稼ぐためにお金を稼ぐ
創業期や、第二創業として次の収益の柱を模索するフェーズでは、事業が軌道に乗るまでの時間がかかります。この「時間がかかる」という事実は、すなわちコストがかかるということです。そのコストをカバーできるだけの手元資金があるか、既存の収益の柱がどれだけ安定しているかが、会社の持続可能性を決定します。
現代では、ビジネスモデルが軌道に乗るまでの時間が長くなり、一方で市場の変化が速いため、成功したビジネスモデルの陳腐化も早まっています。そのため、現在の売上が順調であることに安住するのは危険です。
多くの経営者は、業績が好調な時に気を緩めがちですが、実際には「今の成功」は過去の施策の成果であり、現在の経営判断が未来の成長を決めるという視点が重要です。
しぶとい会社は、今の成長を次の成長の布石にする
成長を続ける企業ほど、現在の好調を次の成長に向けた投資のタイミングと捉えています。単に利益を上げることが目的ではなく、その利益を未来の成長のために活用するのです。具体的には、
- 新しい収益の柱となる事業への投資
- 既存事業の強化と改善
- 人材育成と組織の基盤強化
- 予測できない環境変化への備え
といった活動に資金と時間を振り向けることで、持続的な成長を実現します。
あなたの会社は、どれだけの時間を稼げるのか?
仮に新しい収益の柱を確立するのに3年かかるとした場合、その期間を支えるためにどの程度の資金が必要なのかを試算することは極めて重要です。
成長が止まる会社と、成長を続ける会社の違いは、この「次の成長の布石」を打てるかどうかにかかっています。今、売上が順調であっても、それが未来の成長を保証するものではありません。
あなたの会社は、次の成長に向けて十分な時間を稼ぐための資金を確保できていますか?
新年度が始まる今こそ、しぶとく成長し続けるための準備を始めるタイミングです。
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