ミセルチカラの磨き方

2025/03/20

「伝えたいのに伝わらない」母の姿が教えてくれたこと

カテゴリー :プロファイリング

心意気を形にするコトノハ職人、岩井洋美です。

「ありがとう」を形にしたい母の涙と学び

昨日は朝から雪が降りました。どうりで寒かったわけです。

桜の花が咲くころに雪が降ると、私は父が亡くなった日のことを思い出します。22年前の3月21日は吹雪でした。

 

父が亡くなって明日で22年、母は父が生きられなかった時間を元気に過ごしています。

「あんこ」と「甘いコーヒー」が大好きなので、おまんじゅうやどら焼きと甘いミルクコーヒーを持って私は母に会いに行きます。

私が持参する「おやつ時間」のための「あんこ菓子」を母は日頃お世話になっているスタッフの人に差し上げるように、いつでも私に「指示」を出します(発語が不自由ですから、目と態度で)。

分けられる分がなくてもお構いなし。母は自分の分をあげますし、分けられないときには「なぜあげないのか」と非難の目。私が悪者になります。

 

そんな母、一昨日も「あげたい」と言い出しました。いつもお部屋に来てマッサージをしてくださるリハビリの先生にです。

母のお部屋で渡すなら簡単ですが、わざわざに届ける、それも他のスタッフもいるところへ、ちいさなおまんじゅうを1つ届けるのはちょっと…。

そこで私は、「他の人もいるところでは無理」と伝え、その話を終わらせようとしたのですが、母はどうしたと思いますか?

 

テーブルの端を、動く左手で叩き続けたんです。まるで抗議行動!

自分の思いが伝わらないもどかしさを激しい行動にした

それを目の当たりにして、驚きました。いつもはとてもおだやかな人なので。

ただでさえ、職員へ何かを差し上げることは禁止になっていますから、あくまでも「今日は無理」という私の態度に、とうとう母は子供のように泣きだしました。

 

いつも自分にやさしくしてくれてうれしいしありがたい(感情
 ↓
ちょっとしたものを日頃のお礼にあげたい(欲求
 ↓
渡せないという状況をどうするか(思考
 ↓
渡すことをあきらめない(選択
 ↓
机をたたいて意思を伝える(行動

 

まさに「感情→欲求→思考→選択→行動」です。

感情が突き動かされることで行動することはいつもお伝えしていますが、ビジネスだけに限らず、日常にもはっきり表れます。

母はスタッフの方に必ず「ありがとう」を言いますが、それでは足りず形にしたい。母にとっては「感謝を形に出来ないもどかしさ」が何よりも感情を駆り立てることになるわけです。

 

母に限らず、私達ひとりひとりに感情が駆り立てられるポイントがあって、それには「自分だけのパターン」というものがあります

だからそれを知っておくというのは人生すべてに活かせるということなんです。

 

「それにしてもなぁ~」と母を見ていると考えさせられます。

ビジネスを考えた時、「誰かのためになる」「何かの役にたつ」というのは大前提にありますけれど、誰かのために、何かのために「こうしたい」という気持ち、ここまで強く持つことができるでしょうか?

お客様のため、社員のためと言いながらも、突き詰めていくと「自分のため」になっていることはよくあることですから。

 

机をたたき、泣いて訴えた母がかなりがっかりした様子でお風呂に行っている間。

私はジーンズのポケットにちいさなおまんじゅうをしのばせてリハビリの先生のもとへ。案の定他のスタッフの方もいたのですが、ちょっとした隙に、母の思いとおまんじゅうをお渡しできました。

「感情→欲求→思考→選択→行動」によって思いは伝わり、周りを巻き込むことになるということです。

めでたし、めでたし…。

 

春分の日。今日も1日お元気で。
 

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