ミセルチカラの磨き方
「社長が忙しすぎる会社」はなぜうまくいかないのか?
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
以前、ある知人からA社長をご紹介いただきました。
「今後資金調達を検討しているらしいので、一度会って話を聞いてみてほしい」というご連絡をいただき、早速A社長とアポイントを取りました。
「会社は駅から少し離れているので、B駅までクルマで迎えに行きます」という親切なお申し出までいただき、誠実な方だなという印象を持ちました。
アポイント当日の出来事
当日、乗っていた電車がB駅に到着する直前、私の携帯電話が鳴りました。着信を見るとA社長からです。電車を降りてすぐに折り返すと、A社長が出ました。
「申し訳ないのですが、急に仙台に出張することになったので、今日のアポイントは中止にしてほしい」
どうやら急なトラブルが発生し、社長自ら出張しなければならなくなったようです。
やむを得ないので、私は「分かりました。では、またメールで日程を調整させてください」と伝え、そのまま上りの電車に乗り、事務所へ戻りました。
その日のうちに日程調整のメールを送りましたが、しばらく経っても返事がありません。
「A社長もお忙しいのかな」と思いながら、「今後メルマガで情報提供させていただくので、お時間のある時に訪問させてください」というメッセージを送り、それ以降は定期的にメルマガをお送りしていました。
そして訪れた衝撃の結末
しかし、しばらくするとA社長へのメルマガが届かなくなりました。気になってインターネットで調べてみると、A社長の会社が倒産したとの記事が……。
結局、A社長とは電話で一度お話しただけで終わってしまいました。
もちろん、最初のアポイントの時点でA社長の会社がどのような状況だったのかは分かりません。しかし、私の経験上、このように「決まっていたアポイントを急にキャンセルする」「その後、日程がなかなか決まらない」会社は、業績があまり良くないことが多いのです。
経営者が忙しすぎる会社の共通点
私自身も急な予定が入ってアポイントを変更せざるを得ないことはあります。しかし、日程調整の連絡ができないほど忙しくなることはありません。
もし経営者が「日程調整の余裕すらないほど常に忙しい」状態が続いているなら、それは次の2つのどちらか、または両方の問題を抱えている可能性が高いです。
- 本来経営者がやるべきではない仕事まで自分で抱え込んでしまっている
- 会社の状況が火の車で、資金繰りやトラブル対応に追われている
今や「重役出勤」という言葉は死語かもしれません。しかし、経営者が365日休みなく走り回らないと会社が回らないようでは、組織としての機能不全が起きている可能性があります。
あなたが「重役出勤」しても大丈夫か?
あるベテラン社長は、病気で1ヵ月ほど入院した際に「自分がいなくても意外と会社は回るものだ」と気づき、むしろ安心したそうです。そして、それを機に社員への権限移譲を進める決断をしました。
経営者の役割は、目の前の業務をこなすことではなく、会社の未来を考え、組織が持続的に成長できる仕組みを作ることです。
季節の変わり目で体調管理が大切なように、経営者としての余裕のあるスケジュール管理もまた、長くビジネスを続けるための必須条件です。
今一度、自分の働き方を振り返ってみてはいかがでしょうか?
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