ミセルチカラの磨き方
仕事のプロセス設計は一人でやらない&やらせない
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
仕事をプロセスとして設計できない。
大企業出身者の課題として時々言われています。
大企業の場合、仕事が細分化されています。このため、仕事の全体を見て最初から最後まで一つのプロセスとして設計する機会がなかなかありません。
例えば、営業においても
・お客様とのアポを取る
・お客様と商談する
・お客様と契約を結ぶ
という仕事をやったことがあっても
・スケジュール管理のシステムを作る
・お客様と結ぶ契約書を一から作る
・お客様からお金の振込があったかどうかを確認する
といった仕事はやったことがない人もいます。
会社が事業を続けていくためには、営業担当者が営業力をアップするだけでは不十分。
売掛金の消し込みを行うお金の管理や社員の勤怠管理等も含めて、やらなければならないことはたくさんあります。
今はいろいろなシステムが販売されています。このため煩雑な仕事についてはそれらのシステムを使うこともできます。
しかしながら、各システムにも機能としてできることとできないことがあるので、「どのシステムを選んだら良いか分からない」という方もおられるかもしれませんね。
また、やりたいこと一度に全部やろうとすると、オリジナルのシステムを開発する必要があります。
大企業だとそれなりの予算があるので、自社独自のシステムをゼロから作ることも可能です。けれども、予算に限りのある中小企業の場合、予算の範囲内で導入可能なシステムを使って仕事のプロセスを設計するケースがほとんどです。
したがって、大企業出身の方が経営者になってぶつかる壁の一つが「仕事のプロセスの一部がボトルネックになって売上や利益が伸び悩む」です。
仕事のプロセスを設計する際のポイントは「一人ではやらないこと」です。
どんなに優秀な人であっても、得手不得手はあります。また、自分が経験したことのない仕事についてはどのようなことでつまづくのかがよく分かりません。
あるクライアントさんでは、「案件毎の粗利がすぐに出ない」という課題がありました。
私が銀行に勤めている時はシステムを使うと、「取引先毎にいくらの収益が上がっているか」をすぐに把握することができました。このため、「今回新たに1億円を金利2%で融資したら、どのくらい儲かるか」を担当者レベルで計算することができたのです。
しかしながら、案件毎の粗利がすぐに出ない状況だと、取引先から「今回は300万円の予算しかないが、なんとかお願いしたい」と言われた時に、対応に苦慮する恐れがあります。
前述のクライアントさんは、現在「粗利の見える化」に取り組んでいただいていますが、社員が判断する際に必要なデータが入手できない状態だと
・経営者がすべての案件を精査せざるを得ない
・毎日忙しい割にはあまり儲かっていない
ことになります。
すると、社員数が少ない時にはなんとか仕事が回っても、やがて、経営者自身がボトルネックになって売上高がある水準を超えなくなるのです。
大企業はこれらの壁を乗り越えたがゆえに大企業になったという経緯があります。
そして、そういった大企業でしか働いたことのない場合、仕事のプロセスの一部を見直して効率性を上げる経験はあっても、仕事のプロセスそのものを最初から作るといった経験をした人は少数派です。
私の場合は、幸いにも最初の勤務先で海外駐在員事務所の立ち上げに携わることができました。
当時は海外で働くのも初めてだったので、言葉の問題や文化の違いもあり、いろいろと大変なこともありました。
けれども、そこで、仕事をプロセスとして設計するという経験を積んだことが、その後のインターネット専業銀行の開業、起業後に取り組んだ内部監査の仕事やクライアントさんへの業務改革へのアドバイスに活かされています。
もし、ご自身が大企業出身の経営者の場合は
- 仕事のプロセスの設計を一人ではやらない
ことと
大企業出身の社員を雇用する場合も、たとえ優秀な人であっても
- 仕事のプロセスの設計を一人ではやらせない
ことを意識しましょう。
仕事のプロセスの設計は会社の骨組み。
早い段階で複数の目を通して設計した方が長期的には効果的です。
★関連する専門コラムは
↓ ↓ ↓
「業務プロセスのボトルネックをなくして売上の漏れを最小化する」
売上を上げるためのプロセスを細かく見ていくと、自社の売上を確実に上げるためのヒントやポイントは必ず見つかります。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。