ミセルチカラの磨き方
「なぜ同じミスを繰り返すのか?」成長する会社だけが実践する思考法
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
一を聞いて十を知る組織へ
経営者なら誰しも「社員が一つの失敗から多くを学び、次に活かせるようになってほしい」と願うものです。しかし、現実はそう簡単にはいきません。
例えば、あるクライアント先で、お客様の電話をたらい回しにしてしまい、クレームが発生しました。実は、同様のトラブルは数ヵ月前にも発生していました。
最初に対応した社員も違えば、クレームを入れたお客様も異なります。細かい条件を見れば、契約内容や料金も違うかもしれません。しかし、本質的な構造は同じです。
経営者からすれば、「なんでまた同じことをやっているんだ!」と怒鳴りたくなるかもしれません。
このような同じミスを繰り返さないために、多くの会社ではさまざまな対策を講じています。
- 失敗事例を報告・共有する
- 朝礼で注意喚起をする
- マニュアルを改訂して、注意事項を徹底する
これらの施策は確かに重要です。しかし、どれだけ社内で情報を共有し、注意喚起を強化しても、人が関わる以上、ミスが完全になくなることはありません。
そこで、成長し続ける会社が実践しているのが「ミスの抽象化」です。
ミスを抽象化する思考法
「具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策」
このフレームワークを活用することで、表面的な対処にとどまらず、根本的な問題解決につなげることができます。
例えば、先述の「電話のたらい回し問題」を考えてみましょう。
- 具体的な課題:「お客様の電話がたらい回しになり、クレームが発生」
- 抽象的な要素:「部署間の情報共有が不足している」
- 具体的な対策:
- 部署間の情報共有ファイルを作成
- 関係部署の定期会議を実施
- 連絡方法のルールを明確化
単に「たらい回しをしないように」と注意するのではなく、情報共有の仕組みを見直すことで、似たようなトラブルの再発を防ぐことができます。
1つのミスから3つの対策を
この思考法を定着させるためには、「1つのミスが起きたら、最低3つ以上の対策を考える」という習慣をつけることが有効です。
例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
【ケース1】
- 課題:「A店から本部への電話がたらい回しになった」
- 対策:
- A店の対応マニュアルを更新
- 本部の問い合わせ窓口を一本化
- 全店共通の顧客情報管理システムを導入
【ケース2】
- 課題:「B店から本部への郵便物の送付に1週間以上かかり、お客様に迷惑をかけた」
- 対策:
- 重要書類の送付ルールを見直し
- デジタル化できる書類はオンライン共有に切り替え
- 物流業者との契約条件を見直し、迅速な配送を確保
こうした考え方を徹底することで、個々の問題を組織全体の改善につなげることができます。
社員に「ミスを抽象化する力」を身につけさせる
この思考法を社員に浸透させるには、日常のコミュニケーションの中で意識的に問いかけることが重要です。
- 「この課題を抽象化すると、どんな要素が考えられる?」
- 「その要素から導き出される対策を具体的に言うと?」
このような質問を繰り返すことで、社員の思考力を鍛え、組織全体の問題解決力を高めることができます。
最初は難しく感じるかもしれません。しかし、繰り返し実践することで、次第に
- 自社のミス⇒抽象的な要素⇒組織全体の改善策
- 他社のミス⇒抽象的な要素⇒自社の改善策
といった応用ができるようになります。
継続的な改善こそが、強い会社をつくる
企業が成長し続けるためには、単なるミスの報告や注意喚起ではなく、ミスを抽象化し、組織の仕組みを改善し続けることが不可欠です。
そのためには、
- 「具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策」の思考法を身につける
- 1つのミスから最低3つの対策を考える習慣をつける
- 日常的に社員へ問いかけ、思考力を鍛える
この3つを意識的に実践していきましょう。
新年度を迎えるにあたり、「一つのミスを抽象化して、会社全体の成長につなげる文化」を改めて浸透させ、より強い組織をつくっていきましょう。
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同じミスでも種類によって社員への指導方法は変わる
ミスにも時間と共に解決できるミスもあれば時間が経っても解決しないミスもあり。後者は厳格に対応しないと、人が代わっても同じようなミスが繰り返されます。
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