ミセルチカラの磨き方

2025/03/07

「なぜ同じミスを繰り返すのか?」成長する会社だけが実践する思考法

カテゴリー :マネジメント

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

「なぜ同じミスを繰り返すのか?」成長する会社だけが実践する思考法

一を聞いて十を知る組織へ

経営者なら誰しも「社員が一つの失敗から多くを学び、次に活かせるようになってほしい」と願うものです。しかし、現実はそう簡単にはいきません。

例えば、あるクライアント先で、お客様の電話をたらい回しにしてしまい、クレームが発生しました。実は、同様のトラブルは数ヵ月前にも発生していました。

最初に対応した社員も違えば、クレームを入れたお客様も異なります。細かい条件を見れば、契約内容や料金も違うかもしれません。しかし、本質的な構造は同じです。

経営者からすれば、「なんでまた同じことをやっているんだ!」と怒鳴りたくなるかもしれません。

 

このような同じミスを繰り返さないために、多くの会社ではさまざまな対策を講じています。

  • 失敗事例を報告・共有する
  • 朝礼で注意喚起をする
  • マニュアルを改訂して、注意事項を徹底する

これらの施策は確かに重要です。しかし、どれだけ社内で情報を共有し、注意喚起を強化しても、人が関わる以上、ミスが完全になくなることはありません。

そこで、成長し続ける会社が実践しているのが「ミスの抽象化」です。

 

ミスを抽象化する思考法

具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策

このフレームワークを活用することで、表面的な対処にとどまらず、根本的な問題解決につなげることができます。

例えば、先述の「電話のたらい回し問題」を考えてみましょう。

  • 具体的な課題:「お客様の電話がたらい回しになり、クレームが発生」
  • 抽象的な要素:「部署間の情報共有が不足している」
  • 具体的な対策:
  1. 部署間の情報共有ファイルを作成
  2. 関係部署の定期会議を実施
  3. 連絡方法のルールを明確化

単に「たらい回しをしないように」と注意するのではなく、情報共有の仕組みを見直すことで、似たようなトラブルの再発を防ぐことができます。

 

1つのミスから3つの対策を

この思考法を定着させるためには、「1つのミスが起きたら、最低3つ以上の対策を考える」という習慣をつけることが有効です。

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

【ケース1】

  • 課題:「A店から本部への電話がたらい回しになった」
  • 対策:
  1. A店の対応マニュアルを更新
  2. 本部の問い合わせ窓口を一本化
  3. 全店共通の顧客情報管理システムを導入

 

【ケース2】

  • 課題:「B店から本部への郵便物の送付に1週間以上かかり、お客様に迷惑をかけた」
  • 対策:
  1. 重要書類の送付ルールを見直し
  2. デジタル化できる書類はオンライン共有に切り替え
  3. 物流業者との契約条件を見直し、迅速な配送を確保

こうした考え方を徹底することで、個々の問題を組織全体の改善につなげることができます。

 

社員に「ミスを抽象化する力」を身につけさせる

この思考法を社員に浸透させるには、日常のコミュニケーションの中で意識的に問いかけることが重要です。

  • 「この課題を抽象化すると、どんな要素が考えられる?」
  • 「その要素から導き出される対策を具体的に言うと?」

このような質問を繰り返すことで、社員の思考力を鍛え、組織全体の問題解決力を高めることができます。

 

最初は難しく感じるかもしれません。しかし、繰り返し実践することで、次第に

  • 自社のミス⇒抽象的な要素⇒組織全体の改善策
  • 他社のミス⇒抽象的な要素⇒自社の改善策

といった応用ができるようになります。

 

継続的な改善こそが、強い会社をつくる

企業が成長し続けるためには、単なるミスの報告や注意喚起ではなく、ミスを抽象化し、組織の仕組みを改善し続けることが不可欠です。

そのためには、

  1. 「具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策」の思考法を身につける
  2. 1つのミスから最低3つの対策を考える習慣をつける
  3. 日常的に社員へ問いかけ、思考力を鍛える

この3つを意識的に実践していきましょう。

新年度を迎えるにあたり、「一つのミスを抽象化して、会社全体の成長につなげる文化」を改めて浸透させ、より強い組織をつくっていきましょう。


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