会社と経営者は一心同体と見られることが不可避なら丸裸にされる覚悟を持つ

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

「丸裸にされました」

日本政策金融公庫に新しく始める事業の融資を申し込んだクライアントさんからご報告がありました。

既に会社を設立して一定の時間が経っている場合は

・過去の決算書

・直近の試算表

を提出することで、「1,000万円ぐらいならお金を貸しても大丈夫だろう」という判断をしてもらえます。

一方、新たに会社を作って、これから事業を始める場合。

会社に勤めている際に、抜群の営業成績を収めている人でも経営者としての力量は未知数。このため、いかに精緻な事業計画を作ったとしても、その数字通りに事業を進めていけるかを判断するのは簡単ではありません。

したがって、銀行に借入を申込みすると

・預金はどのくらい持っているのか

・住宅ローンの残債はいくらなのか

・その他資産はいくらぐらいあるのか

を銀行から質問される可能性があります。

銀行の審査では

• ヒト
• モノ
• カネ

を見ると言われています。

しかしながら、初対面の人に対して「この人にお金を貸しても大丈夫だ」と間違いなく判断するのは不可能です。

また、扱う商品やサービスが

・過去の勤め先で扱ってきた実績と経験がある

・市場でも一定のニーズがある

ものであっても、「新しく始める会社で売れ続けるか」を正確に予想することは困難です。

一方、

・預金を3,000万円以上持っている

・住宅ローンの残債は多少残っているが、5,000万円の価値がある自宅マンションを所有している

なら、担保提供までは求めないけれど、「1,000万円ぐらいならお金を貸しても大丈夫だろう」と判断してもらえる可能性が高まります。

クライアントさんは「こんなことまで根掘り葉掘り聞かれて」とややご立腹でした。

しかしながら、お金を貸す立場に立つと、ヒトやモノについては判断がつきにくいことを勘案すると

• カネ

に関することをいろいろと確認せざるを得ないという事情があります。

日本では会社がお金を借りる場合、代表者が保証人になるのがまだまだ一般的です。

特にオーナー経営者として

・自分が出資して会社を作る

・自ら代表取締役として会社経営に携わる

際には「会社と経営者は一心同体として見られる」ことは避けられません。

いろいろと質問されるのが嫌なら、事業に必要な資産を充分に用意して全額自己資金で賄うのがベストです。

一方、

・どうしてもやりたい事業がある

・その事業を始めるにあたっては自己資金だけでは足りない

なら、

・家族や親戚、知人からお金を借りる

・銀行からお金を借りる

・家族や親戚、知人から出資してもらう

・投資家を募って出資してもらう

形で資金調達するか

・自己資金の範囲内で小さく始める

という選択肢しかありません。

この場合、銀行や投資家など自分のことをよく知らない人からお金を出してもらうには

丸裸にされる覚悟を持つ
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必要な情報をすぐに開示できるようにしておく

ことは避けて通れません。

会社の場合は年1回決算書を作成し、月次決算をやっていれば、毎月試算表を作成します。しかしながら、個人の場合は年1回確定申告することはあっても、個人としての資産や負債の状況を定期的にアップデートすることは意外に少ないのではないでしょうか。

預金通帳を時々見ることはあっても

・持っている株式の時価

・保有している不動産の時価

・個人で借りている金額の明細と現在残高

などは、あっちこっちに情報が散らばっているため、調べないとすぐに出てこないケースが多いです。

ちなみに、私が銀行員の時は「関連取引一覧表」として「会社の代表者やそのご家族等がどのくらいの資産を持っておられて、どのくらいの負債があるのか」が分かる資料を作らされていました。

面倒くさいかもしれません。また、個人的なことを聞かれるのは嫌かもしれません。

しかしながら、もし、「自己資金だけでは足りないけれど、どうしてもやりたい事業がある」のであれば、「丸裸もやむなし」と捉えて、個人の資産・負債状況もすぐに開示できる準備だけは進めておきましょう。
 

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