ミセルチカラの磨き方
商談がスムーズに進まない本当の理由とは?「言葉のズレ」が生む失敗パターンと解決策
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
商談や交渉で成功を収めるには、互いの言葉の定義を深く理解し、認識のずれを避けることが重要です。
一見すると簡単なように思えますが、実際にはこれが原因で話がかみ合わないケースが頻繁に発生します。特に、財務や経営に関連する言葉では、この問題が顕著です。
例えば、「キャッシュフロー」という言葉。「キャッシュフローが回らない」と言われたとき、その意味は話し手の状況や立場によって大きく異なります。
創業間もないベンチャー企業の場合、「キャッシュフローが回らない」というのは、主に「売上が安定していない」という状況を指していることがほとんどです。
一方で、増収増益中の企業が「キャッシュフローが回らない」と言う場合、それは資金需要の増加により運転資金が逼迫している状態、つまり「資金管理が適切に行われていない」という意味合いで使われることが多いのです。
こうした背景を理解せずに商談を進めると、双方の意図がかみ合わず、せっかくの提案が相手に正しく伝わらないことがあります。では、この問題をどのように解決すればよいのでしょうか?
言葉の定義を一致させる重要性
商談や交渉の場では、まず相手が使う言葉の定義を確認することが大切です。
例えば、「キャッシュフロー」の話題が出た際に、どのような状況や課題を指しているのかを具体的に聞き出します。
創業間もない企業では、「売上不足」がキャッシュフローの問題の主因であるケースが多いでしょう。この場合は、売上を安定させる施策が最優先課題となります。
一方、ある程度成長した企業では、資金の流れを効率的に管理し、適切に活用することが課題となります。この場合は、資金繰り表の作成や運用資金のタイムリーな把握が重要です。
このように、同じ「キャッシュフローの問題」でも、課題の本質が異なることを理解していなければ、相手に響く提案を行うことは難しくなります。
具体的な対応策
1.状況を正確に把握する質問を投げかける
「キャッシュフローが回らないとおっしゃっていますが、具体的にはどのような状況を指していますか?」
「現在、資金繰りで最も困っている点は何ですか?」
2.提案の方向性を相手に合わせる
売上不足が原因であれば、営業支援やマーケティング施策の提案に重点を置きます。
資金管理が課題であれば、資金繰り表や融資戦略の重要性を伝えます。
3.共通のゴールを設定する
「お互いの認識をすり合わせた上で、キャッシュフローの課題を解決し、経営の安定化を目指しましょう。」といった形で共通の目的を明確にします。
商談を成功に導くコミュニケーションのポイント
商談や交渉で相手の心をつかむには、自分が当然のように理解している言葉こそ注意深く扱うべきです。
たとえば、マーケティングの世界では「小学生でも分かるように伝えよう」とよく言われますが、それでも認識のずれは発生します。簡単な言葉ほど深く掘り下げて、具体的かつ平易な説明を心がけましょう。
また、相手の状況に寄り添いつつも、プロとしての視点を提供することも重要です。ただ単に相手に合わせるだけではなく、「こうすればさらに良くなる」といった提案ができると、信頼を得やすくなります。
最後に、交渉の目的は双方にとって最善の結果を得ることです。そのためには、互いの言葉の定義を理解し、共通認識を持つことが不可欠です。この姿勢を常に意識しながら、商談や交渉に臨むことで、成果を最大化できるでしょう。
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