ミセルチカラの磨き方
税理士任せにせず月次試算表で経営改善を目指す方法
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
月次試算表の重要性
毎月の試算表を正確かつタイムリーに把握することは、経営者が会社の健康状態を知る大切な指標となります。月ごとに経営の状態を客観的な数値で確認できるため、試算表が存在するだけで日々の経営判断に役立つ材料を提供してくれます。
しかし、特に中小企業の現場では、税理士から言われた「決算書さえしっかりしていれば問題ない」という言葉を経営者が鵜呑みにしていることがあります。最終的には決算書に基づき税務申告が行われるため、試算表がそれほど重視されないケースがあるのです。
しかしながら、この考え方にはリスクが伴います。試算表を月次で適切に作成し、経営判断に活用しないと、真の経営改善は難しいのです。
試算表がもたらす経営の「可視化」
試算表は、毎月の売上、コスト、利益、資金の流れなどを見える化するための基本的な資料です。これにより、どの事業が利益を生んでいるか、逆にコストがかかりすぎている部分はどこかを具体的に把握できます。
多くの中小企業では、日常業務に忙殺される中、感覚的な経営判断に頼ってしまいがちです。しかし、数字を伴わない判断には思わぬ見落としが潜んでいる可能性もあります。試算表は、そうした曖昧さを取り除き、経営の方向性を確認する指標としての役割を果たすのです。
税理士の役割と経営者の意識改革
月次試算表の重要性を理解するためには、まず経営者自身がその必要性を認識することが重要です。たしかに、税理士の仕事は主に税務申告にありますが、試算表の作成も経営の一環として見直す必要があります。
「決算書だけで十分」という考えは、過去の数字を振り返るにすぎません。リアルタイムで現状を把握し、問題があればすぐに対応するためには、月次の数字が不可欠です。税理士がその意識を持ち、経営者と連携して月次の試算表を整備する体制を作り上げることが、健全な経営改革の第一歩と言えるでしょう。
タイムリーな試算表が可能にする早期対応
経営の中で課題が発生した場合、早期に手を打てるかどうかで結果が大きく変わります。たとえば、売上が下がっている兆候を月次で把握できれば、早急に販売促進策を打つことができます。資金繰りに問題が出そうなときにも、余裕をもって対策を講じることが可能です。
月次試算表はこうした「早期発見・早期対応」のツールとして、中小企業の経営者にとっては不可欠なパートナーと言えるでしょう。
月次決算体制の整備による経営改革
中小企業が持続的に成長するためには、月次試算表を基にした経営管理体制の整備が重要です。経営者が月次の数字を把握し、その変動を元に意思決定を行うことで、経営改革の道が開けてきます。
試算表が示す数字は、感覚では得られない客観的な情報であり、経営者が冷静に判断を下すための大きな手助けとなります。毎月の試算表を単なる帳簿の一部と考えるのではなく、経営の未来を支える貴重なデータとして捉え、その活用体制を整えて企業の安定と成長につなげましょう。
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