ミセルチカラの磨き方
社内資料が社外で通用する!経営管理資料の質を高める3つのポイント
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
会社経営に必要な管理資料には、決算書や試算表のようにフォーマットが統一されているものもあれば、資金繰り表や商品別売上管理表、在庫管理表のように、会社独自の形式で作成されるものもあります。
決算書や試算表といった統一されたフォーマットは、銀行や投資家といった社外にそのまま提出しても内容が理解しやすく、一定の分析基準に基づいて評価を受けられます。一方で、独自形式の資料は、内容がバラバラであることが多く、そのまま提出すると追加の説明や質問が必要になり、手間が増えてしまいます。
たとえば、銀行に資金繰り表を提出する場合。
会社によって形式が異なり、記載項目や内容にばらつきがあると、銀行側は内容を読み解くために補足資料や説明を求めることになります。その対応に時間を取られるうえに、相手方からの評価が低下する可能性も否定できません。
こうした状況は、会社の業務効率を損ねるだけでなく、信頼構築の妨げにもなります。
私がこれまでさまざまな企業の資料を拝見した中で感じたのは、「業績が良い会社ほど、社内資料がそのまま社外でも通用する」ということです。
逆に、業績が伸び悩む企業では、管理資料が整備されておらず、作成していても社外で活用するには適さないことが多いのです。さらに、社内でそもそも管理資料を作成していないケースも少なくありません。
管理資料を作成するだけでも労力が必要ですが、外部提出用に別途資料を用意しなければならないと、さらに時間と手間がかかります。この無駄を省くためにも、社内資料を「そのまま社外で通用する」レベルに整えることが重要です。
では、どのようにすれば社内資料の質を高め、業務効率化と信頼向上を実現できるのでしょうか。
以下の3つのポイントに注目しましょう。
1. 実績が正確で、マスターデータと一致していること
たとえば資金繰り表では、月次の現預金残高が「前月末の数字=月初の数字」と一致していることが基本です。しかし、実際には月末の確認を怠り、翌月の数字だけ調整してしまうケースが見受けられます。
このような資料を社外に提出すると、矛盾を指摘されるだけでなく、「この会社は数字を正確に把握できていないのでは」と評価を下げる原因にもなりかねません。
実績データとマスターデータが一致していることは、会社の信頼性を示す重要なポイントです。少し手間でも、数字の整合性を常に確認する姿勢が求められます。
2. 比較ができる形式になっていること
同じ売上高1億円でも、計画比や前月比、前年同月比といった比較基準がなければ、その数字が良いのか悪いのか判断できません。さらに、競合他社や商品別、粗利ベースでの比較も行うことで、より立体的な数字の分析が可能になります。
管理資料を作成する際は、ただ数字を並べるのではなく、比較基準を設け、数字の位置づけを明確に示しましょう。これにより、資料を受け取る側が判断しやすくなります。
3. 一目で理解できる簡潔なフォーマットであること
社内でよく使われる略語や専門用語が、そのまま社外資料に使われていると、受け取った相手は内容を理解できず混乱します。また、細かいデータが羅列されているだけでは、全体像をつかむのに時間がかかります。
そのため、管理資料は「総括表」と「詳細資料」をセットにし、総括表には全体の要点と必要な説明を簡潔にまとめることが重要です。初めて見る人でも内容を把握しやすいよう配慮しましょう。
このように、社内資料を一歩進化させることで、社外の信頼を得るだけでなく、業務効率の向上や会社全体の成長にもつながります。「社内資料が社外で通用する」という視点を持ち、資料作成のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。
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