ミセルチカラの磨き方

2025/02/07

資金繰り表の落とし穴:中途半端な管理だとお金の流れがズレる恐れあり

カテゴリー :マネジメント

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

中途半端な管理だとお金の流れがズレる恐れあり

資金繰り表は大きく分けると

  • 月次資金繰り表:毎月の現預金の実績と計画を記載する
  • 日次資金繰り表:毎日の現預金の実績と計画を記載する

の2種類があります。

資金繰りに余裕のある会社は前者の月次資金繰り表で問題ありません。一方、資金繰りが厳しい状況にある場合は、月末時点ではお金が足りても、10日の支払日や25日の給料日などにお金がショートすることもあるので、日次資金繰り表を作成することをお勧めしています。

 

しかしながら、たまに見かけるのは、毎月のお金の動きを上旬・中旬・下旬というように3つに分けて資金繰り表を作成しているケース。

月次で管理するほど、お金に余裕はないが、だからと言って、毎日の資金管理するのは面倒くさいし、時間もない場合に、月次と日次の中間的な位置付けとして作られていることが多いように感じます。

そして、このような月次三分割資金繰り表を作っている会社の場合、なぜか、資金繰りの把握が中途半端になっていることが多いです。

 

その理由として考えられることの一つが、上旬・中旬・下旬とした場合に、その切れ目がいつになるのかハッキリしないことにあります。

一般的には

・上旬:月初〜10日

・中旬:11日〜20日

・下旬:21日〜月末
 

になります。

 

けれども、例えば、10日が日曜日や祝日など休日と重なった場合。

預金が動くのは11日以降
 ↓
10日の支払が発生するのが前倒しの9日なのか、11日なのかによって資金繰り表で予測している残高と預金残高が変わる
 ↓
実績を確認するのが億劫になる
 ↓
資金繰り表の実績の数字と実際の現預金残高がずれたままになる
 ↓
最終的に月末時点でも数字が資金繰り表と実際の現預金残高で乖離する
 ↓
翌月に取りあえず月初残高だけ数字を合わせて資金繰りの予測を立てる

といったことが実際には起きています。

 

バタフライ効果ではありませんが、最初に発生したのは細かい違いなのですが、少しの差異が放置され、結果的にひと月、ふた月立つと、大きな差異が生じて、また資金繰りを一から見直さざるをえない状況を産んでいることが少なくありません。

そもそもの経緯として、毎日数字を合わせるのが面倒だと感じている人が月次三分割資金繰り表を作っています。

 

しかしながら、「実績を正確に把握して、将来に生かす」という観点からすれば、多少時間がかかっても、毎日数字を合わせた方が見直す際に簡単です。

仮に10万円の数字が合わなかった際、日繰り資金繰り表を作っていれば、どの日のどの入金・出金の金額が違っていたのがすぐに分かります。しかしながら、上旬・中旬・下旬だと前述のような微妙な違いがあるので、数字の間違いを見つけるのに、かえって時間がかかります。

 

要は中途半端な仕事は良くないということ。

月中の資金繰りが不安定な間は、毎日資金繰り表の数字と実際の預金残高を確認して、いくら足りているのか、いくらまでなら、今使っても大丈夫なのかを把握しましょう。

 

なお、日次資金繰り表の場合はその月の合計金額を計算するような式を入れておけば、そのまま月次資金繰り表としても使えます。

一方、月次三分割資金繰り表の場合、なぜか、その月の項目毎の合計を計算する欄を設定していないことが多いです。このため、今月は合計いくらの売掛金を回収したのか、原材料費などの売上原価でいくらの支払があったのかを別途計算しないと分からず、実績を検証する際もひと手間かかります。

 

もし、現在、上旬・中旬・下旬と分けた資金繰り表を作っておられるなら、

  • 資金繰りに余裕があるなら、月次資金繰り表に集約する
  • 資金繰りがちょっと心配な場合は日次資金繰り表に変える

ことをお勧めします。

 

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