ミセルチカラの磨き方
業務改善がうまくいかない理由はコレ!形骸化した制度を立て直す
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
実体を伴う運用が成長を支える
業務の改善を考える際、重要なのは「整備されているか」と「運用されているか」という二つの視点です。
「整備されている」とは、規程やマニュアルが存在し、形式的には整っている状態を指します。しかし、それだけでは十分ではありません。「運用されている」とは、その仕組みが実際に日々の業務に浸透し、意図した通りに機能している状態を指します。
多くの企業では、規程や業務フローは整備されていても、それが適切に運用されていないケースが少なくありません。制度やルールが形骸化し、実際には誰も意識せずに業務が進んでいる状態です。
運用されていない制度がもたらすリスク
例えば、ある企業では「業務改善の提案制度」を導入していました。社員が業務の効率化や新しいアイデアを提案できる仕組みが整備されていたのです。しかし、実際にはほとんど活用されておらず、形だけの制度となっていました。
なぜ、せっかく整備された制度が機能しないのか。その理由にはいくつかのパターンがあります。
・属人的な導入:制度が社長の思いつきで始まり、現場に浸透しない。
・環境の変化:当初は有効だった仕組みが、時代や組織の変化とともに機能しなくなる。
・習慣化の難しさ:新しいことを始めるのも難しいが、続けていることをやめることも抵抗がある。
人間の脳は変化を嫌う性質があり、現状を維持しようとする傾向があります。そのため、たとえ機能していない制度であっても、何となくそのままにされがちです。しかし、これが放置されると、会社の成長を阻害する要因になりかねません。
本来の目的を見失わない
具体的な例を考えてみましょう。
多くの企業で行われている「書類の承認プロセス」。上司が部下から回ってきた書類に印鑑を押すことで、次のステップへと進む流れです。
本来の目的は以下の通りです。
・上司が書類の内容を確認し、不備がないかチェックする。
・問題がなければ、責任を持って承認し、印鑑を押す。
しかし、実際にはどうでしょうか?
1日に大量の書類が回ってくると、上司は細かい確認をする時間がなくなり、流れ作業のように印鑑を押すだけになってしまうことがあります。この場合、上司の印鑑は「確認済み」の証拠にはなりますが、「実際に確認した」という保証にはなりません。
このように、形としては整備されているものの、本来の目的が果たせていないケースは少なくありません。
痛みを伴う前に改善を
業務の改善は「問題が起きたから見直す」では遅すぎます。問題が発生する前に、日頃から「実体を伴った運用ができているか」を確認し、必要な見直しを行うことが重要です。
現状に安住するのではなく、常に業務の本質を問い続ける。この姿勢こそが、成長し続ける企業の条件です。
働き方改革が求められる時代、単にルールを増やすのではなく、本当に機能する仕組みを作ることが不可欠です。
業務改善において最も重要なのは「先憂後楽」の精神。今すぐにでも見直しを始め、将来の大きなトラブルを未然に防ぐ意識を持ちましょう。
どの業務も、何のためにあるのかを改めて考え、「整備されているだけ」で満足せず、「運用されているかどうか」を問い続ける。これが企業の持続的な成長につながります。
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