ミセルチカラの磨き方
人が代わっても仕事のレベルを落とさない!評価基準の作り方と活用法
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
企業の現場では、人が代わることで仕事のレベルが低下するという課題が頻繁に発生します。
新しい人が入社して新しい仕事を始めると、最初の段階は必ず「0.できない」からスタートします。
そこから、
1.教えたらできる
2.一人でできる
というプロセスを経て、徐々に成長していきます。
しかし、「一人でできる」レベルに達したとしても、前任者と同じ水準で業務をこなせるとは限りません。むしろ、
- 上手くいっても前任者と同等のレベル
- 下手をすると前任者よりも低いレベル
にとどまることが多いのです。
そのため、「一人でできる」を一人前の基準とすると、社員のスキルや経験の差が蓄積し、結果として企業全体の仕事のレベルが下がる恐れがあります。
人に教えられることを基準にする落とし穴
そこで、「人に教えられる」ことを一人前の基準にする企業もあります。
確かに、人に教えることで自分自身の理解が深まり、新たな気づきを得られることが多いので、このアプローチは有効です。しかし、この方法には一つ大きな落とし穴があります。
それは、前任者から教わったことをそのまま次の人に伝えてしまうことです。
この場合、業務の質が劣化コピーのように徐々に低下し、「人が代わるごとに仕事のレベルが落ちる」という事態を招きかねません。
仕事の質を向上させるための評価基準
この問題を解決するために、次のような評価基準を導入することをおすすめします。
1.教えたらできる
2.一人でできる
3.仕事内容を改善できる
4.人に教えられる
「仕事内容を改善できる」というステップを追加することで、単なる前例踏襲ではなく、仕事の質を高めながら業務を継承する仕組みが生まれます。
例えば、
・以前は1時間かかっていた業務を30分で完了できるようにする
・個人向けだった商品を法人向けに展開する
といった具体的な改善が行われることで、会社全体の生産性や競争力が向上します。
「成果」ではなく「結果」を評価する
「仕事内容を改善できる」を評価基準に組み込む際のポイントは、「成果」ではなく「結果」を評価することです。
例えば、
・1時間かかっていた仕事が30分で完了する → 成果として評価しやすい
・個人向けの商品を法人向けに展開したが、売上が伸びなかった → 成果として評価しにくい
後者の場合、売上が伸びなかったからといって評価の対象外にしてしまうと、社員は新たな挑戦を避けるようになってしまいます。
行動なくして結果なし。
挑戦した結果、上手くいかなかったとしても、その試み自体を評価することで、社員が積極的に改善策を考えられる環境を作ることが重要です。
中途採用者の注意点
即戦力として期待される中途採用者の場合、「一人でできる」ことは前提とされます。そのうえで、企業は彼らに「仕事内容を改善できる」ことを期待するでしょう。
しかし、注意しなければならないのは、
・「自分のやり方が正しい」と思い込み、現場を混乱させる可能性があること
・改善ではなく改悪になるリスクがあること
企業によって正解は異なります。そのため、新しい社員が改革を進める際は、事前に会社の方針とすり合わせを行い、改善と改悪を見極めるプロセスを整えることが重要です。
企業全体の成長を促す仕組みづくり
仕事のレベルを維持・向上させるためには、個々の社員のスキルアップだけでなく、企業全体として成長を促す仕組みを作ることが不可欠です。
1. 標準化された業務プロセスの整備
業務の属人化を防ぎ、誰が担当しても一定の水準を保てるようにするためには、
・業務マニュアルの作成と更新
・ナレッジ共有の仕組み構築
・定期的な業務プロセスの見直し
が必要です。これにより、新しい社員が早期にキャッチアップできるだけでなく、業務改善のヒントも生まれやすくなります。
2. フィードバックと振り返りの仕組み
社員が業務改善に取り組むためには、
・定期的なフィードバックの場を設ける
・改善提案が評価される文化を作る
・成功事例や失敗事例をチームで共有する
ことが重要です。これにより、組織全体としての成長スピードを加速させることができます。
まとめ
人が代わっても仕事のレベルを落とさないためには、
- 教えたらできる
- 一人でできる
- 仕事内容を改善できる
- 人に教えられる
という評価基準を設定し、社員が「改善」を意識して業務に取り組める環境を作ることが重要です。
さらに、成果ではなく結果を評価することで、社員が積極的に挑戦し、業務の質を向上させる文化を築くことができます。
このような仕組みを整えることで、企業は人が代わっても成長し続ける組織へと進化していくのです。
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