ミセルチカラの磨き方
そろばん教室に学ぶ高い目標を段階的に達成する方法
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「なぜそろばん教室はこれほど普及したのか?」
ある教育関連の会社の経営者が語った理由は明快でした。
「評価基準を明確にし、各級を細かく段階的に設定したから。」
例えば、珠算1級では、以下のような基準が設定されています。
みとり算(10題)、かけ算(20題)、わり算(20題)を30分以内に解き、300点満点中240点以上で合格。さらに1~3級においては、試験時間や合格基準が共通でも、問題の難易度が次第に高まります。
1級のみとり算:10口 100字
2級のみとり算:10口 80字
3級のみとり算:10口 60字
このように段階的な評価基準により、学ぶ人たちは「次はこれをクリアしよう」と意欲的に取り組む仕組みが自然と生まれるのです。6級を取得した子どもは次に5級を、2級に合格した人は1級を目指す。目標が明確で、達成可能な範囲で設定されていることが成功の秘訣と言えるでしょう。
経営にも通じる「段階的評価」の重要性
では、これを会社経営に当てはめてみましょう。
経営においては、そろばんの級のように「1つの問題に対して必ず1つの正解がある」とは限りません。また、売上高10億円を達成すれば〇で、9億9,000万円なら×というような単純な割り切りも難しいものです。
ここで問題となるのが、評価基準をどう設定するかです。
多くの企業では次のような失敗が見受けられます。
- 評価基準があいまいであること
- 目標が非現実的で、短期間での達成を求めすぎること
こうした状況では、従業員の努力や進歩が評価されにくく、組織全体が萎縮してしまう可能性があります。
人材育成における「承認」と「挑戦」のバランス
人は認められることで成長します。
しかし、これまでの経験から「承認されていない」と感じている人は驚くほど多いのです。例えば、テストで90点を取った場合、次のどちらに焦点を当てるかで印象が大きく異なります。
「9割は正解した」
「1割は不正解だった」
もし、「なぜ1割間違えたのか?」とばかり責められると、「やはり100点じゃないと意味がないのか」という思いが生まれます。これが積み重なると、「どうせ完璧じゃないとダメだ」と考えるようになり、新しい挑戦への一歩を躊躇する原因になります。
ここで重要なのは、まず「9割できた」という事実を承認することです。その上で「残り1割を正解にするにはどうすれば良いだろう?」と前向きな問いかけをし、「次は10割を目指そう!」と励ますことが、モチベーション向上につながります。
そろばん教室の教訓を経営に活かす
高い目標を掲げることは素晴らしいことです。しかし、その目標が現実と乖離していると、誰もが「どうせ無理だ」と諦めてしまいます。だからこそ、そろばん教室のように「評価基準を明確にし、段階的に目標を設定する」ことが参考になります。
あるクライアント企業では、試行錯誤を重ねた結果、組織体制が固まりつつあります。次回の打ち合わせでは、その新しい体制を評価する基準を具体的に詰めていく予定です。そこで活用するのは、そろばん教室の仕組みに倣った段階的な評価設定です。
そろばんは10級から始まります。
同じように、経営者が掲げる高い目標も「まずは足元の1歩から」という姿勢で取り組むことが重要です。1歩1歩進むことで、目標は自然と達成されるでしょう。
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