ミセルチカラの磨き方
人事評価では時間による認知バイアスに気をつける
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
半年や1年など、一定期間の出来事や実績を評価する際、どうしても、直近の印象から影響を受けるという時間によるバイアス(歪み・偏り)が生まれます。
先日今年の世相を表す漢字一文字が「税」である旨発表されました。
この今年の漢字は毎年投票で選ばれ、
第1位:「税」(5,976票)
第2位:「暑」(5,571票)
だったとのこと。
個人的には第2位の「暑」の方がしっくりきますが、投票期間が11月1日から12月6日だったことから、岸田内閣の減税案が少なからず影響したかもしれません。
昇給や昇格を決める査定においても
Aさん:期初に大きな実績を残した人
Bさん:期末近くになって大きな実績を上げた人
を比べた場合、
「Bさんは最後は頑張ったよね」
という印象が残って、トータル的に大差がなければ、どうしてもBさんの方が高く評価されがちです。
今年の漢字は会社の業績に影響を与えませんが、社員の人事評価を行う場合、前述のような「時間による認知バイアスがかかる」ことに気をつける必要があります。
「終わりよければすべてよし」という考え方もあります。
しかしながら、会社として持続的な成長を続けていくためには、「仕事は前倒しで行う」のが基本になります。
一方で、会社の査定ルールが明文化されておらず、半年や1年に1回行われる評価時期の直前の行動が高く評価される傾向が続くと、「仕事は前倒しでやろう」と社長が発破をかけても、社員は「最後に帳尻を合わせた方が効果的だ」と考えて、仕事の前倒しが実現しない恐れがあります。
ちなみに今年の流行語大賞は「アレ(A.R.E.)」でしたが、38年振りに日本一になった阪神タイガースの勝因の一つに「四球に関する査定を変えた」ことがあります。
バッターを評価する場合、打率や打点など、いわゆるヒットやホームランを何本打つかで査定されるのが普通です。しかしながら、岡田監督は「ヒットで出塁するのも四球を選んで出塁するのも勝利に近づくという点では同じである」という考えの下、球団と交渉して四球を選んだ際の査定基準を変えました。
すると
各バッターは従来よりも球をよく見るようになった
↓
四球による出塁も増えるし、相手ピッチャーの球数も増える
↓
勝つ試合が増える
という結果につながりました。
阪神のように査定基準を変えたからといって、すぐに成果につながるとは限りません。
しかしながら、「人は誰しも高く評価されたい」という願望を持っているので、「どういう行動をしたら評価されるのか」を言葉としてハッキリさせることはとても大切です。
冬のボーナスの査定は既に終わっているかと思いますが、2023年の1年間を総括して、いろいろな査定をされる会社もあるかと思います。
人は時間と共に過去の記憶は薄れていきます。このため、寒い日や大雪のニュースが続いたりすると、今年の夏は猛暑だったことはつい忘れがちになるのは仕方のないところ。
しかしながら、何をどのように評価するかは社員の行動や会社の業績にも影響してくるので、時間による認知バイアスには気をつけましょう。
なお、自分がどのような認知バイアスを持っているのかは自分だけではなかなか分かりません。
一方、自分自身の認知バイアスを自覚することで日々の仕事や生活が大きく変わることがあります。
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