ミセルチカラの磨き方
予算管理は数字を分析したら終わりではない
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「予算管理をやっていますか?」
と質問されたら、皆さんならどのように回答されるでしょうか。
毎月の予算は作っている
実績が出たら計画と差額を計算している
差額が出た要因を分析している
ので、「ウチはやってます!」と回答される方もおられるかと思います。
そして、実際、ある程度会社の規模が大きくなると、
毎年予算を作る
↓
毎月予算を基に会議をやっている
会社も多いのではないでしょうか。
一方、予算管理を
会社の理念を実現するために
お金に関する目標について
仮説を立て、
結果を踏まえて検証を重ねながら
新たな行動につなげること
と定義した場合はいかがでしょうか?
「新年度は売上高3億円を目指す」という目標があった場合、
毎月2,500万円×12ヵ月=3億円
前半の6ヵ月は毎月1,000万円×6ヵ月+後半の6ヵ月は毎月4,000万円×6ヵ月=3億円
といった仮説を立てることができます。
ここで「計画」ではなく、あえて「仮説」という言葉を使ったのには意味があります。
仮に毎月2,500万円の売上を上げるという計画を立てたにも関わらず、最初の月は1,500万円の売上しか上がらなかったとします。この場合、目標の未達分である1,000万円は2ヵ月目以降でカバーしないと、最終的に「売上高3億円」という目標を達成することができません。
これは小学生でも計算できることですが、いろいろな会社のお話をお伺いしてみると
1ヵ月目の実績:1,500万円
2ヵ月目以降の計画:2,500万円のまま
になっているケースが意外と多いです。
先の定義である
仮説を立て、
結果を踏まえて検証を重ねながら
新たな行動につなげること
に沿って考えれば
仮説:今までの業績からすれば毎月2,500万円の売上達成は可能だ
が違っていたことが分かった段階で、「今までの業績からすれば」という前提条件を修正する必要があります。
特に昨今は会社を取り巻く環境の変化が大きいため、過去の実績を基に計画を作っても、計画通りには進まないことが増えています。
このため、月次の目標を修正するにしても、「未達分である1,000万円は2ヵ月目と3ヵ月目に500万円ずつ上乗せしてカバーする」といった数字の辻褄合わせは通用しません。
つまり、結果が出たら、それを踏まえた上で
・原因を分析する
・原因が分かったら対策を立てる
・その対策を周知徹底する
ことは必須です。
ただ、実際には自分たちは「これが原因で1,000万円が達成できなかった」と考えていても、その原因は別だったということがあります。
また、原因を正しく把握できても、その問題解決のために立てた対策が違っていたということもありえます。
したがって
仮説を立て
結果を踏まえて検証を重ねながら
新たな行動につなげること
と言葉で言うのは簡単ですが、実際に取り組む際はそれほど簡単なものではありません。
特に当初立てた計画の数字がなかなか達成できない場合、社員の中で
「このような計画は無謀だった」
「いくら頑張っても、この数字は無理だ」
「毎月コロコロと目標の数字が変わるのでよく分からん」
といった不満が広がる恐れがあるので、注意が必要です。
仮説というのは「ある前提条件をベースに考えられうる未来の姿」です。このため、その前提条件が変わると、当然未来の姿も変わります。
言葉の力は思っている以上に大きいものがあります。
いったん作った計画を何回か修正するとなると、「その計画はちゃんと考えて作ったのか」と捉える人は必ず出てきます。
一方、仮説であれば、1ヵ月やってみて出てきた結果を踏まえて最初に数字として計算した仮説を修正するのは当たり前のことです。
そういう意味では「予算管理」という言葉自体も
・本社や本部が現場の社員を評価するためのもの
・現場をよく知らない管理部門がやっていること
・予実の分析をして会議で発表するためのもの
といったイメージがあるかもしれません。
ただ、予算管理は数字を分析したら終わりではありません。
予算管理を
会社の理念を実現するために
お金に関する目標について
仮説を立て、
結果を踏まえて検証を重ねながら
新たな行動につなげること
と位置づければ、そのイメージや効果も大きく変わってくるのではないでしょうか。
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