ミセルチカラの磨き方
見えない利益を改善するには見える実践を愚直に積み重ねる
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
ある商品を1個いくらで売るか?
経営者であれば、誰しも自社の商品の価格を理解しているはずです。
では、その商品を1個売ると、いくらの利益が出るか?
これについてはいかがでしょうか。
「ウチの商品は1個10,000円で、原価率が50%だから1個あたりの利益は5,000円」
とすぐに回答される経営者もおられます。
しかしながら、このようにご回答いただいても、すぐにその数字を鵜呑みにすることはできません。
なぜなら
・その商品が1個10,000円で売れているとは限らない
・原価率50%は過去の数字で、最近は原材料費等の高騰によって原価率が上がっている(利益率が下がっている)ケースがある
・売上原価の中身が経営者の認識によって異なる可能性がある
からです。
先日も、あるクライアント先で
・見積り書を作った時点では目標とする利益の金額を確保できていた
・実際に仕入先から請求書などをベースに計算しみると、目標とする利益の金額を下回っていた
という案件がありました。
商売は売上先、仕入先、外注先、業務委託先等の関係者がいて初めて成り立ちます。このため、当初の見積り段階や商談の際に目論んでいた売上や利益が確保できないといった状況は少なからず発生します。
ただ、「ちりも積もれば山となる」ではありませんが、1個あたり、1件あたりの差額は小さくても、数量や件数が多くなってくると、「毎日一生懸命頑張っているのに、なぜか毎月資金繰りに追われているなぁ」という状態に陥ります。
このような状況を避けるためには「社員の給料や事務所の家賃などたとえ売上高がゼロ円であっても、毎月発生する固定費をカバーする」ためには、商品を
・いくらで売るか
・何個売るか
を数字として計算して、日々目標と実績値を比べて改善に活かすという動きが必要です。
いくらで売るかについては、原材料費などを勘案して必要な利益が確保できる価格が一つの目安になります。けれども、その商品を売っているのがウチだけだという特殊な事情を除けば、価格を上げるにも自ずと限界があります。
その場合には一定の数量を売って「価格×数量」として、固定費部分をカバーしなければなりません。
あるクライアントさんでは
1.まずは目標とする毎月の売上高をクリアする
2.次に各売上高の中身を分析して契約毎の粗利の額を把握する
という2ステップに分けて、資金繰りの改善に取り組んでおられます。
会社によっては契約を取ってくる営業の影響力が大きいという所もあるかと思います。
そして、営業担当者の中には、自分の目標を達成するためには採算度外視の契約を取ってきたり、経理などの事務担当者の余計な手を煩わせる案件を強引に進めたりする人もいます。
しかしながら、営業も事務も仕事における役割が違うだけで、全体として必要な利益の金額を確保しないと、会社は長く事業を続けていくことができません。
そして、会社として必要な利益を上げ続けるには
「その商品を1個売ると、いくらの利益が出るか?」
について、経営者だけでなく、営業担当者も事務担当者も日頃から頭に入れて仕事に臨むことが鍵を握っています。
ちなみに、お寿司屋さんを経営している知人の経営者は寿司ネタ毎の粗利を計算して
「そのネタを1貫注文しもらうと、いくらの利益が出るか?」
をアルバイト社員にも説明し、
「追加で注文をいただく際にはマグロではなくボタン海老をお勧めしよう」
といったきめ細やかな指示を出されています。
資金繰り改善は地道な努力の積み重ね。
サボればしっぺ返しがありますが、愚直に実践を重ねれば、必ず成果につながります。
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