ミセルチカラの磨き方
「学習の5段階レベル」を踏まえて人材育成で考慮すべきポイント
人材育成では、学習のレベル5の「人に教えることができる」を意識して全体を設計し、学習レベルの各段階毎に「いつ、どこで、どのような仕掛けを行うのか」を考慮して取り組む。
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「学習の5段階レベル」と呼ばれているものがあります。
- レベル1:無意識無能(知らないしできない)
- レベル2:有意識無能(知っているができない)
- レベル3:有意識有能(意識すればできる)
- レベル4:無意識有能(無意識にできる)
- レベル5:意識有能/無意識有能(人に教えることができる)
仕事でレベル1からレベル2にステップアップするには、「情報共有」が必要です。
何も知らない新入社員はレベル1の段階。仕事のやり方や会社で決められたルールに関する情報を共有しないと、できなくて当たり前です。
次にレベル2からレベル3にステップアップするには「具体的な行動」が求められます。
研修に参加してテンションが一時的に上がっても、学んだ知識やノウハウを仕事で実践しないとレベル2に留まったままです。
また、学んだことを一度だけやってみてもダメ。何回かトライ&エラーを繰り返して「これならできる」と本人が思わない限り、できるとは言えません。
人材育成との関連で言えば、具体的な行動には
・本人が取り組む行動
・本人に取り組ませるための行動
の両方が含まれます。
この点、「研修が終わったら、学んだことを翌日に一つ実行して、課長に報告すること」といったような何らかの仕掛けをしないと、なかなか行動にはつながりません。
実際には、このレベル2からレベル3に移行するプロセスが一番難しいように感じます。
レベル3からレベル4にステップアップするには「愚直な実践の積み重ね」しかありません。
ただ、単純な作業レベルの仕事であれば、ひたすら繰り返すだけで習得できますが、より高度な仕事の場合はそうもいきません。自ら考えて工夫し、時には状況に応じて改善することも求められます。
したがって、先ほどは「愚直な」と表現しましたが、より正確には「仮説と検証を繰り返しながら実践を積み重ねる」です。
最後のレベル4からレベル5へのステップアップ。
自分ではできるようになっても、それを人に教えられるというのはそれまでとは違った能力やスキルが求められます。
人に教えるには言語化が必要。そして、自分は理解できていることを他者がそのまま理解してくれるとは限りません。相手のレベルや状況に応じて、伝え方を適宜変えていかないと、せっかくのノウハウも上手く伝承されません。
それゆえ、この部分については、個人の能力や努力に頼るのではなく
・文字にして社内マニュアルを作る
・動画を撮影して理解を深める
といった組織的な取り組みが必要です。
今はIT人材の不足などを受けて、社員のリスキリングなど、社員の学びに力を入れる企業も増えつつあります。
しかしながら、社員の個々の意欲や努力に頼るだけだと、せっかく人に投資しても、それが会社の新たな資産とならない恐れもあります。
会社として、お金を投資するだけでなく、学習レベルの各段階において「いつ、どこで、どのような仕掛けを行うのか」をしっかり設計しましょう。
そして、個人的にはレベル5の「人に教えることができる」を意識して、全体の設計を行うことをお勧めしています。
会社が人材育成にお金を投資するのは、あくまで「社員の成長を通して、会社の業績アップにつなげる」ため。
社員は経営者が期待している通りには動かないことを前提に、より効果のある方法に取り組みましょう。
なお、個々のスキルを学ばせる前に、根本的な原因から変革した方が効果は高いかもしれません。
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