ミセルチカラの磨き方
赤字路線は廃止するか譲渡するのが常套手段ですが・・・
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
先日JR西日本が「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」として、赤字路線である17路線30線区の収支を公表しました。
明治時代以降、日本全国を網羅する鉄道路線が整備されましたが、採算の悪い路線は廃止になったり、第三セクターに移行したりして、旧国鉄時代からはだんだんと路線が減っています。
JRの場合、都市部や新幹線は黒字であっても、地方のローカル線は慢性的な赤字。全体として黒字を確保できたとしても、新型コロナの影響で人の往来が減る中、稼ぎ頭の路線の収支も悪化しています。
このため、今回の情報開示は将来の廃線に向けた布石ではないかと言われています。
会社においても
・A部門とB部門は黒字
・C部門は赤字
で、トータル的には黒字を確保しているというケースもあるかと思います。
その際、収益力を高めるために赤字であるC部門を
・廃止する
・他社に売却(譲渡)する
といったことが行われます。
鉄道に関して言えば
・廃止する→バスなどで代行する
・売却(譲渡)する→第三セクターに移行
という感じでしょうか。
一鉄道ファンとすれば、赤字路線の廃止は残念ですが、会社経営の観点から考えた場合、赤字部門の縮小はやむを得ない側面があります。
一方で、先日の東北地方の地震で1ヵ月近く東北新幹線が不通になった際、迂回ルートとして常磐線で臨時列車が運行されました。
鉄道が不通になった時、代替手段として、バスや飛行機が利用されます。けれども、災害等で道路も不通になると、バスは利用できませんし、場所によっては飛行場まで遠いという地域も少なくありません。
この点、線路がつながっていれば、たとえ時間がかかっても、大量の輸送手段となりうる鉄道路線がだんだん縮小されるのは、総合的なリスクコントロールの観点からもいろいろ検討する余地があります。
また、クルマや飛行機に比べると、環境にやさしいと言われる鉄道はSDGsの点からも考慮すべきことがあります。
会社を続けていくためには利益を出してキャッシュフローを回していくことは絶対条件です。
一方で、昨今の大きな流れとしては「単に儲かっているだけでは良しとしない」という傾向が強まっています。
- 人にやさしいのか?
- 環境に配慮しているのか?
- 社会的にも意義があることなのか?
これらは公共性の高い鉄道会社だけでなく、あまねく多くの会社に問いかけられている課題。会社は公器と言われますが、すべての会社には社会的価値があります。その社会的価値を意識することで、新しいビジネスチャンスも生まれてきます。
なお、会社の社会的価値を含めて言語化することにご興味のある方は「こちら」もチェックしてみてください。
もうすぐGWですが、どこかへおでかけされるご予定はあるでしょうか?
最近は新型コロナ感染防止のために電車での移動は避けて、クルマで出かける人も増えているとのこと。鉄道会社は、さらに一層知恵を絞る必要がありそうです。
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