ミセルチカラの磨き方
社員の給料を本気でアップしたいなら、目先の賃上げよりも成長を見据えた仕掛けが優先
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
社員の給料をどうやって上げていくか。
昨今は政府も企業に対して賃上げを要請しており、経営者としては頭の痛い問題の一つです。
成長が先か、分配が先か。
国と違って企業の場合で言えば、原則として「成長→分配(給料の引き上げ)」です。
一人あたり1万円賃上げすれば、社員100人の会社の場合、毎月100万円のコストアップになります。
この賃上げによって、社員が奮起して売上もアップすれば、100万円の費用増加もカバーできるかもしれません。
しかしながら、給料が月1万円上がったからといって、社員が満足するとは限りません。また、仮に社員が頑張ったとしても、競合他社も多い中、自社の売上や利益が改善するとは限りません。
この点、上手な会社は「仕掛け→成長→分配」を実践しています。
しかも、この仕掛けは一つだけではなく、必ず複数の仕掛けを組み合わせています。
先日お話をお伺いした、ある地方の中小企業の場合。
人口減少に伴う、市場の縮小が予測される中、「今のうちに手を打っておかないと大変なことになる」ということで、DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組まれました。
まずは業務全体を見直して、どこに無駄やムラがあるのかを明らかにして、業務システムを刷新されました。一方、社員にはマルチタスクとして、一人で二つ以上の業務をこなせるよう指導し、組織を再編成しました。そして、システムが本格稼働し、業務の効率化が進む中、より収益性の高い新規事業に社員を投入しました。
結果として、売上も利益も大きく改善し、社員の給料もアップしたのです。
このように書くと、いかにも簡単で順調に進んだように思われるかもしれません。
けれども、実際にはやり始めた当初は
今までのやり方を大きく変えることに社員の不満が爆発する
↓
ベテラン社員が反発して、大量に退職する
といった混乱が生まれました。
それでも、経営者が「ウチが今後生き残っていくにはこれをやり切るしかない」と一歩も引かずに粘り強く改革を続けたことで、会社の体質が大きく変わったのです。そして、今では給与水準も高く、業務効率化が進んでいるため、休みも多いことから県内でも入社したい人気企業になっておられます。
手元のお金に余裕があれば、一時期的に社員の給料を上げるのは可能かもしれません。けれども、持続的に社員の給料を上げられる会社を目指すのであれば、「仕掛け→成長→分配」の順番は絶対に崩せません。
ある上場企業の社長がおっしゃっていたのは「お金はすぐに上書きされる」。
つまり、仮に社員の給料を上げても、「より高い給料がもらえる会社で働きたい」と考える社員は、他社から今よりも高い給料をオファーされたら、すぐに転職してしまうという訳です。
もし「持続的に社員の給料を上げられる会社にしたい」と本気で考えておられるなら、まずは「他社にはすぐに上書きされない仕掛け」を実践しましょう。
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