ミセルチカラの磨き方
社長の指示で赤字転落に陥るケースを防ぐには
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
経営者が集まる勉強会で、次のような問題が出されました。
【問題】
商品単価:10,000円
商品原価:6,000円
という商品を1,000個売ると、
売上高=10,000円×1,000個=1,000万円
売上原価=6,000円×1,000個=600万円
になります。
この時、人件費や家賃等の固定費を300万円とすると、
利益=1,000万円-600万円-300万円=100万円
となります。
では、売上高が1,100万円に増えたら、利益はいくらになるでしょうか?
↑ ↑ ↑
問題はここまで。
ちょっと計算してみてください。
・
・
・
・
・
いかがでしょうか?
昔から弊社のブログをお読みいただいている読者の方なら答えが分かったかもしれませんね。
実は、先の問題、「利益はいくらになるかは分からない」が正解です!
なぜなら、売上高が1,100万円になったと言ってもその中味が分からないからです。
- A:1,100万円=10,000円×1,100個
- B:1,100万円=11,000円×1,000個
- C:1,100万円=5,000円×2,200個
同じ単価で数量を増やした場合、数量はそのままで1割値上げした場合、大幅に値下げして、売上高を増やした場合、いずれの場合であっても、売上高は「1,000万円→1,1000万円」と1割アップしています。
そして、1個当たりの商品原価6,000円と固定費の300万円は変わらないとすれば、
- A:利益=140万円
- B:利益=200万円
となるので、増益になりますが、
- C:利益=▲520万円
と大幅な赤字になります(汗)!
つまり、売上高を考える時は価格と数量を組合わせる必要があるという訳です。これは算数が分かれば誰でも理解できる話です。
けれども、これを「売上高を前月より1割アップしろ!」と社長が社員に指示した場合と考えたらどうでしょうか。
社長の頭の中では、少なくとも前述のAやBのケースのように、頑張って数量を売るか、値上げして売上を伸ばすのかがあるかと思います。もしかすると、多少の値下げは許容範囲かもしれません。
けれども、Cのケースのように原価割れして「大幅な赤字を出しても、売上を増やせ」と言った覚えはないはずです。一方で、理屈の上からすればCのケースは「売上高を前月より1割アップしろ!」という社長の指示を忠実に守ったことになります。
今回の事例は数字で表現したので、ある意味極端に感じられたかもしれません。
しかしながら、社長の指示は社長の真意を含んで伝わるとは限らないのは、よくある話です。「まさか、そんなふうに解釈するとは!」と結果が分かってからでは遅いこともあります。
人による理解度は様々。
増収増益を目指したつもりが、赤字転落にならないように、社員の理解度を確認しつつ、細やかにフォローアップしましょう。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。