ミセルチカラの磨き方
低視聴率にあえぐ「いだてん」の挑戦を会社の活性化に活かす
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
なにかと視聴率の低さが取り上げられる「いだてん」。
大河ドラマ「いだてん」の視聴率が大河史上最低の5.9%を記録したことが新聞記事等で取り上げられています。
実は私は子供の頃から大河ドラマファン。ほとんど毎年欠かさずに見る方ですが、6月まで「いだてん」を1回も見ていませんでした。しかし、低視聴率が毎回話題になっていたのと、ちょうど第二部が始まるとのことだったので、ようやく7月から見始めたところです。
見た感想は「想像していたよりずっと面白い!」
少なくとも、前回の放送も内容的には大河ドラマ史上最低の視聴率を獲得するようなものではなかったかと思います。
では、なぜ視聴率が低いのか?
そもそも決まった放送時間にテレビを見るという習慣がなくなりつつあります。でも、これは「いだてん」に限らず、すべてのテレビ番組に共通する課題です。
焦点をもう少し「いだてん」に絞ってみると、4つの点が挙げられます。
- 時代が比較的現代に近い
- 主人公が一般的にはあまり知られていない
- 主人公が途中で代わる二部構成になっている
- 演出の仕方がかなり変わっている
1.時代が比較的現代に近い
大河ドラマと言えば、戦国時代、幕末時代、源平の合戦の時代を描いたものがほとんど。過去にも現代に近い時代を取り上げたドラマもありましたが、数の上では圧倒的に少数派です。
2.主人公が一般的にはあまり知られていない
第一部の主人公がマラソンで日本人初のオリンピック出場を果たした金栗四三。第二部の主人公が東京オリンピック招致に尽力した田畑政治。
少なくとも、私はこのドラマを見るまで、お二人のお名前を知りませんでした。織田信長や西郷隆盛は知っていても、金栗四三や田畑政治を以前から知っている人はかなり少ないかと思います。
3.主人公が途中で代わる二部構成になっている
主人公が最終回前に亡くなって、残り数回をその子孫などの姿を描くという構成は過去にもあったように思います。また、時代の変遷を経て一族の興亡を描いたストーリー展開も見た記憶があります。
けれども、今回の場合、オリンピックという共通項はあるものの、一人はマラソン選手で、もう一人は新聞記者と主人公がまったく毛色の違った人物でリレーする例はあまり記憶にありません。
4.演出の仕方がかなり変わっている
今回のドラマの脚本は宮藤官九郎さん。そして、あの大ヒットドラマ「あまちゃん」のスタッフも制作に関わっているとのことですが、良くも悪くもドラマの演出が変わっています。
詳しい内容は実際に見ていただいた方が早いと思いますので省略しますが、「大河ドラマ=重厚な歴史ドラマ」という観点からは、かなりぶっとんだ演出になっています。
以上私なりに勝手な分析をしましたが、一言でまとめると、大河ドラマとして、かなり挑戦的なドラマです。挑戦的であるがゆえか、結果である視聴率としてはかなり苦戦しています。
来年のオリンピック開催に向けて、大きなチャレンジ。しかし、翌日から仕事が始まる日曜夜の8時、ある程度定番的な展開を期待する視聴者にとって、ひねり過ぎというか、やや奇抜すぎて受け入れがたいという現実が立ちはだかるのかもしれません。
そして、私自身も最初は食わず嫌いの状況で半年間見ていませんでした。けれども、一度見始めると、「大河ドラマとしてはかなり異色だけれど、これはこれでかなり面白い」と感じるようになりました。
最終的にこのドラマがどう評価されるのか、私はテレビ評論家ではないので分かりません。しかしながら、「視聴率が低い=ドラマとしては悪い」という一律的な評価には違和感を覚えます。
少なくとも、保守的な見方をする人が多い伝統的な分野で果敢に挑戦していること自体はもっと評価されてよいかと思います。
そして、会社経営においても、果敢な挑戦は失敗する可能性が高いが、実際に上手くいかなかった時に、その挑戦をどう評価するかによって、その後の社員の仕事に対する取り組み姿勢が大きく変わります。
果敢な挑戦を画一的な基準だけで評価してしまうと、その後は無難な対応が主流になって、社内でイノベーションは生まれません。
「いだてん」をまだご覧になっていない方は私のように食わず嫌いになるのではなく、一度ご覧になった上で、自分としての評価を下していただければと思います。
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