ミセルチカラの磨き方
経営理念に反するなら、高収益事業をスパッと捨てられるか?
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
たいへん人気で全国で売れている商品があるのに、突然生産を中止し、その商品を作っている工場まで壊してしまう・・・。
もし、あなたがその商品を作っている会社の社長だったとしたら、このような決断ができるでしょうか?
先日夕飯を食べながら見ていたのがNHKの「ファミリーヒストリー」という番組。著名人の先祖がどんな人物だったのかを取材して報道する番組なのですが、今回は女優の賀来千香子さんがゲストでした。
賀来家のルーツは大分らしいのですが、幕末、賀来家では苦労を重ねながら、民間で初めて鉄製の大砲を造り上げました。その評判は全国に届き、幕末に活躍するあの長州藩も大砲の作り方を大分まで学びにくるほどの人気でした。
しかし、賀来家では突然大砲を作るのを止め、その製造の要となる反射炉を取り壊してしまいます。
実は賀来家が大砲を作り始めるきっかけになったのは諸外国からの侵略に備えるため。ある有力者が財力のある賀来家に目をつけて、「お国を守るために」ということで説得しました。そして、賀来家ではその目的を遂行するために、自ら財を投げ打って反射炉を建造し、大砲を作り始めたのです。
では、なぜ苦労の末に成功を収め、引き合いも多かった事業を突然止めってしまったのか?
その理由は幕末の混乱にあります。
ご存知のように、開国か攘夷か、尊皇か佐幕か、といったように幕末は目まぐるしく情勢が変わります。そんな中、二度にわたる長州征伐も行われ、本来は外国からの侵略に備えて作った大砲が日本人同士の戦いにも使われます。
このような事態に接し、当時の賀来家の当主は、「本来の目的とは違う」と判断し、大砲製造事業を止めてしまったのです。
これは、会社経営の観点で言えば、「経営理念と反する事業になったので、主力の事業そのものを止めてしまう」ということです。
会社では、「何のためにその事業をやるのか?」が大事と言われていますが、現実には、「どうやって稼ぐのか?」に重きが置かれます。このため、将来性もあり、儲かっている事業をあえて自分から手放すということは普通やりません。
もちろん、当時の賀来家の当主の頭の中には、「このまま大砲作りを続けていると、やがて内乱の渦の巻きこまれるので危険だ」というリスク回避の要素もあったかと思います。
けれども、単に儲けだけを考えるのであれば、武器商人として上手く立ち回ることで、さらに商売を広げるという戦略もあったはずです。
幕末と現代とでは、時代背景も異なりますし、会社の取り巻く経済事情も違います。しかしながら、「目的と違ったら、仮に利益を捨ててでも、その事業をスパッと止められるか?」という点では、いろいろと考えさせられる番組でした。
そして、自分のご先祖さんは、幕末の頃、どこで何をして、どのような考えを持っていたのかをぜひ調べてみたいと思った次第です。
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