ミセルチカラの磨き方
経営改革では危機感の共有を期待しない
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
経営改革に取り組んでおられる経営者の方から、「ところで、銀行の時はどうだったのですか?」というご質問を受けました。
業歴も長く、業績も安定されていますが、次の10年、20年を展望した時に、経営者は「このままではダメだ」という危機感を抱いておられます。このため、経営者は何とかして企業風土を変えていきたいと思い、いろいろと手を打っておられます。
けれども、社員の方は、やる気がまったくない訳ではないものの、現状の仕組みややり方を変えることに対して積極的とは言えません。
そこで、冒頭のご質問があったのですが、「少なくとも私が働いていた時は」という前提で、
- 上司の指示や命令は絶対的なものだった
- 基本的な戦略や目標は本部が決めるので、各営業店では、ひたすらそのノルマを達成するために頑張るだけだった
- 各目標のカウント基準があるので、まずはそれを熟知した上で、行動した
- 営業の時には、朝礼や夕礼、営業会議などで営業の数字を厳しくトレースされた
と回答しました。
本部にいる経営陣は、おそらくいろいろな危機感を抱いていたと思います。そして、その指示を受けて、経営企画部門が戦略を練り、営業店に伝達。その伝達された目標を受けて、各店では担当者にノルマが割り振られます。
このため、各担当者が持っているのは会社に対する危機感ではなく、「自分の目標が達成できるか」、「未達の目標を会議で厳しくトレースされないか」という危機感でした。
今になって思うと、ずいぶん視野の狭い人間でしたが、先の経営者のお悩みを勘案してみると、「これをやって!」と上司が指示したら、いろいろと不満はあっても「ハイ、分かりました!!」と素直に従っていた人が多かったように感じます。
しかし、昨今は会社で働く社員の意識も大きく変わってきています。このため、「これをやって!」と指示しても、「それって、本当にやる意味があるのですか?」、「自分の成長に、どれだけ役立つのですか?」と素直には従わないケースが増えています。
一方で、「上司の命令だから」で無理やり押し切ろうとすると、「パラハラだ」と訴えられるリスクもあります。
このため、冒頭の経営者には、
- 経営に対する危機感を社員と共有することに関しては、あまり期待を持たないこと
- 目標を伝える場合に、必ずその目標をやる目的も一緒に伝えること
- それぞれの目的は、社員が「いいですね」 と感じるような経営理念と結びつけること
をお伝えしました。
おそらく、私がサラリーマンとして働いていた時とは、社員が持っている価値観は違っています。このため、自分の価値観を押し付けて、「いいから、黙ってこの通りにやれ!」と言っても、なかなかその通りには動いてくれません。
経営者の大事な仕事は、社員に働いてもらって、結果につなげることなので、社員が行動するポイントを探し続けることが鍵になっています。
その際、相手に擦り寄ってはダメです。社員に擦り寄らずに、「自分が今彼ら(彼女ら)の立場だったら、どのようことなら心が動くのか」を想像し、試してみましょう。
少なくとも、昇給や昇格だけが答えではないのは確かです。
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