ミセルチカラの磨き方
社長と横綱の共通点は二兎を追うことにあり
ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
「いま強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古を両方しなくてはいけません」
これは昭和の名横綱千代の富士の名言です。
横綱である以上、土俵に上がれば常に勝つことを求められます。このため、今日の本番に勝つことがまず第一。一方で、長く横綱の地位を守るためには、目先の勝利だけでなく、3年先でも勝つことが必要です。
長く綱を張った横綱ならではの言葉ですね。
さて、相撲の稽古で、いま強くなる稽古と3年先に強くなるための稽古が実際にはどう違うのかについて、私はよく分かりません。
けれども、会社経営においては、今月の利益を確保するための行動と3年先の利益を確保するための行動を両方しなければならないということはよく分かります。
今もお取引いただいているクライアントさんに最初にお会いしたのは約5年前。その後はずっと弊社のメルマガを読んでいただいていたのですが、直接お会いしたのは、正式に契約が決まった3年前が2回目でした。
信頼を築くには2年、3年と時間がかかります。また、たとえ信頼を築けたとしても、その商品を必要とするニーズが出てこないと、なかなか商品は売れません。
このため、たとえ今月の売上にはつながらなくても、3年先の利益を確保するための行動はコツコツ続けていく必要があります。
一方で、「今月中にどうしてもあと500万円のお金が必要だ」という時は、コツコツ行動しているだけはダメ。残り日数を頭に入れながら、可能性のある見込み先のリストを基に、迅速かつ漏れなく行動しないと、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
ここで気をつけなければいけないのは、人には、追い込まれて力を発揮するタイプと追い込まれると力を発揮できないタイプがいるということです。特に後者のタイプの場合、3年先の利益を確保するための行動は得意であっても、今月の利益を確保するための行動は苦手です。
千代の富士ほどの名横綱であれば、いま強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古を意識して両方できるのかもしれません。
しかし、一般的な社員の場合、今月の利益と3年先の利益の両方をにらんで同時並行的に進めていけるような人はあまりいません。
だからこそ、ここは社長が「今月は半期末なので、まずはこの目標を達成しよう!」とか、「3年後に売上を2倍にするために、まずは新規先を重点に開拓しよう!」というように
短期的な目標をクリアするための行動なのか、長期的な目標を視野に入れての行動なのかを明確に指示する
ことが大切です。
もしかすると、「そんなことぐらい言わなくても分かるでしょう」と思われるかもしれません。しかし、社員の方にヒアリングすると、社長の指示が短期的な視点から出たものか、長期的な視点に立って出たものかをきちんと理解して行動できる社員は案外少ないのを感じています。
だから、背景を省略して指示すると、「あれ? 社長はこの間と違ったことを言っている」と、社内に要らぬ混乱を引き起こします。
横綱だから分かることがあるように社長だから分かるということがあります。経営者の視点と社員の視点は必ずしも同じではありません。
特に会社の経営実態を社員に開示していない場合、指示内容の背景を理解させるには時間がかかります。そこは3年かけて7割方理解してもらうぐらいの長期的な視点が必要です。
★社員の視点を上げるためには、「社長専任の社外チーム」を活用する方法があります。詳しくは「こちら」。
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